6/27 数学・書けば解ける | 勉強もたまには教える数学塾

6/27 数学・書けば解ける


前回(6/15)は、1行書き加えることで計算ミスを大幅に減らせることをご伝授申しあげた。

今回はその続編で、「紙に書く」ということは、ひじょうに強力な思考力増強の助っ人であり、ぜひ貴君のパートナーにしていただきたい、ということである。

なぜ、紙に書くことが思考力増強になるのかというと、その端的な例は、図形の問題である。
貴君はつぎの問題を、紙に書くことなしに3分以内に解けるだろうか?
(K社の中学2年の数学教科書に載っている問題である)

(問題1)
平行四辺形ABCDの4つの角 ∠A,∠B,∠C,∠D の二等分線でつくられる四角形はどんな四角形か?

どんな四角形? と来たら答えは、平行四辺形、正方形、長方形、ひし形、台形 のどれかで、台形はないだろうから、それ以外の4つのどれかで、あてずっぽうでも正解の確率は4分の1なのだが、ここでは、あてずっぽうは禁止させていただく。

この問題を紙に書かずに3分以内に解けたら、小生の駄文をお読みになる必要はない。
ゲームでもやってください。

頭の中だけで考えて答えが出なかった方は、紙に図をお描きください。
定規を使って、できるだけ正確に。 分度器は出さなくて結構。

さて、描き終えたら、平行四辺形ABCDの中にできた四角形をシカとご覧いただきたい。
とくに、4つの角にご注目。
なにやら直角のように見えませんかな?

平行四辺形をほそ長く描いた方は長方形っぽく、平行四辺形をひし形のように描いた方は正方形のように見えると思う。

ピンポーン!正解は「長方形」なのだ。
あとは、その理由、つまり4つの角が90°になることを考えればいいだけだ。
(ヒントはこの駄文へのコメント参照)

いつもこのように超うまくいくとは限らないが、「書(描)くこと」が強力な助っ人になり得ることはお分かりいただけたのではないかと思う。
まぁ、図形の問題で図を描くのは、あたりまえのはなしだが。

しかし、この教科書にはご親切にも図がちゃんと載っているのだ。

本題からそれるが、これはよくないと思う。
「文章を読んで、その意味するところを図に表す」という知的作業をさせないわけだから、生徒さんの知的能力の発達を阻害しているのではないだろうか?

それはさておき、「書くこと」が有効なのは図形だけの専売特許ではない。

つぎの問題を、計算以外は紙に書かずに解いてみていただきたい。
(中学1年の数学教科書に載っている1次方程式の問題である)
(問題2)
姉が駅に向かって歩いて家を出てから6分後に、弟が同じ道を自転車で追いかけた。
姉の歩く速さを分速50m、弟の自転車の速さを分速200m とすると、弟は家を出てから何分後に姉に追いつくか?

私立中学受験のための勉強をしているお子さんならば簡単に解いてしまうかもしれないが、そういう特別な勉強をしていない方には紙なしではキツイであろう。
また、ふだんから「書いて考えること」に慣れていない生徒さんは、なにを書けば思考の助けになるのか、わからないのではないか。

では、なにを書けばよいかというと、問題を読んで思いうかぶイメージを図にしてみることだ。
たぶん、姉が歩き、弟が自転車で走る姿がイメージされるだろう。
動画を描くわけにいかないから、ある瞬間の図を描くこになる。

ではどの瞬間がよいか?
1.
問題に「弟は家を出てから何分後に姉に追いつくか?」とあるから、まずは弟が姉に追いついた瞬間が最重要である。

2.
また、「姉が駅に向かって歩いて家を出てから6分後に、弟が同じ道を自転車で追いかけた。」というのが問題を複雑にしているので、これを図にしてわかりやすくしてみたい。
そこで選びたい瞬間は、姉が家を出る瞬間か、弟が家を出る瞬間か、のどちらかになるが、結論を先にいえば、弟が家を出る瞬間がよい。
なぜかというと、6分ぶんの距離だけ弟の先を行く姉の姿を書き込めるからだ。

この2つを、わかりやすいように時間の流れにしたがい、2,1の順番で図にしてみる。
姉を [姉]、弟を ○弟○ とあらわす。

【弟が家を出る瞬間】

○弟○________[姉]
   家   ↑
      姉が歩いた6分ぶんの距離

【弟が姉に追いついた瞬間】

                ○弟○
   ______________[姉]
   家

図はこれでOK。

これは方程式の問題なので、何をXにするかをまっ先に決めなければならない。
答えになるものをXにするのがフツーなので、弟が家を出てから姉に追いつくまでの時間をX分としよう。

再度くり返すが方程式の問題なので、方程式、つまり=でつるんだ式 をでっち上げなければならない。
=でつなげるもの、すなわち等しいものは何と何だろうか?
図を見ながら考えてみよう。

すると、【弟が姉に追いついた瞬間】の図で、「姉が歩いた距離」と「弟が自転車で走った距離」の2つがドンピシャ等しいことがわかる。
これら2つを式であらわして=でつなげば、方程式のでっち上げは完了だ。

両方とも距離なので、距離=速さ×時間(これは知っていなけばならない)を使う。
速さは、問題に書いてある。
時間は、弟はX分だ。 姉は弟より6分多く歩いているから (X+6)分になる。
よって、
姉が歩いた距離は 50(X+6)m
弟が自転車で走った距離は 200Xm となるので方程式は
50(X+6)=200X
となる。あとはこれを解くだけだ。

これで、図形以外の問題でも、図(図以外でもよい)を書くことが有効であることがおわかりいただけたと思う。

ふだんから活用されることをお祈り申しあげる。



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